携帯電話について・・・
中学校の頃、学生の間では「ポケベル」なるものが密かにブームになっていた。
当然「ポケベル」は当時学校への持込禁止で、アルバイトもしていない中学生にとっては
ちょっと遠い存在の代物だった。
当時中学３年生、好奇心旺盛だった私はどうしてもその「ポケベル」が欲しくて親にねだって
買ってもらった。
特に「ベル友」がいるわけでもなく、ベルをする「彼氏」がいるわけでもなかったのに…
しかし、ポケベルは本当に一方的なもので相手から送られてきた言葉を受ける事しかできない。
返事を返す時には家では電話、学校では職員室の近くにある公衆電話にいかなければならない…
しだいにポケベルに飽き、使わなくなっていった高校入学当初、新しくできた友人が携帯電話を持っていた。
ポケベルを持つ事で満足していた私にとってそれは衝撃的な出来事だった。
携帯電話とは約３０年以上も前から存在しているにも関わらず、数十万というお金がかかり、
お金持ちしか持つ事が許されない!!しかも持ち歩くには大きい!!
というのが私の頭の中にあり、高校生が持てるような代物ではないと思っていた。
しかし、約十年前、すでに携帯は民営化（大げさ）されて、安い価格で入手できるようになっていたのである。
とはいっても値段はポケベルの倍…
親にねだるわけもいかないと思いアルバイトを始めて、一切親には負担をかけないという事で
携帯電話（本当に持っていたのはピッチ…）を手にしたのである。
それからというもの高校生活は有意義だった。
友人への年賀状はメールで済ませられ、夜友人に用事がある時もわざわざ親の出る電話にかけなくてもよくなり、時計も要らず…
いつの間にか周りには携帯を持っていない学生のほうが珍しくなっていった。
当時の私には本当に考えられない社会である。
